2013年9月12日木曜日

東京カテドラルと大阪カテドラル

先日、テレビ東京の番組『美の巨人たち』で丹下健三設計による東京カテドラルが紹介されているのを見ました。この建物は近くを通った折に見た記憶がありましたが、傍まで近づいてみたことはなかったので、歩いても行ける距離にあることもあって改めて近くで眺めてみたいものだと思い、先日、夕方になってから行きは地下鉄、帰りのみ徒歩で見にいってきました。と言っても番組をみて特別にこの建築に感動したとか、あこがれる気持ちがかきたてられたというよりも、自分の印象を確認してみたいと思った次第なのです。というのもこの建築は確かに見ごたえのある建築で、眺めて楽しめる見物ではあると思いますが、特別優れているようには思えなかったし、個人的にあまり好きであるとは言えなかったからです。もう一つ確認してみたいと思った理由は、今年の春に大阪のやはり聖マリア大聖堂という建築を始めて見て、建築として結構気に入っていたのですが、その大阪カテドラルと比べてこちらの東京カテドラルがあまりにも違ったコンセプトで設計されたような印象だったので、その違いについても考えてみたかったという次第です。

確かに見ごたえのある美しい造形物で、眺めて面白いのですが、四方に向かって鋭角的に突出して見える点で、個人的には建築としてはあまり好感が持てません。こういう突出のしかたはなんだか攻撃的な感じで、尖塔が真っ直ぐに天に向かって伸びているのとは意味が違うような気がします。形としては面白いと言えますが。

 この種の曲面も、見方によっては薄い板を曲げたのような印象で、個人的にはあまり好きではないですね。巨大であるので見ごたえはありますが。
 
正面エントランスも、個人的には何かエジプトかメソポタミアの神殿か、あるいは城塞のような印象で、カトリック教会的な印象とは少し違うような気がします。こういう造形が現在日本のカトリック信者の心情を表現していると言えるのかどうか、何とも言えませんが。

以下は今年の春に撮影した大阪カテドラル、聖マリア大聖堂玉カトリック造教会。東京カテドラルの印象とはずいぶん違います。どちらもヨーロッパ中世以来の大聖堂とはスケールも造形も大きく異なっているのは当然ですが、こちらの方がカトリック教会的な香りが感じられるし、「聖マリア」の名前にもふさわしいような。個人的に特に気に入っているのは窓のデザインです。たくさんの窓の形と配置が美しいと思います。最近の造形を重視した建築は窓の美しさが忘れられる傾向があるような気もしますが。




設計した建築家は長谷部鋭吉という人物で、今回、ウィキペディアで初めて知りました。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%95%B7%E8%B0%B7%E9%83%A8%E9%8B%AD%E5%90%89
生年は1885年で、丹下健三氏よりも一回り以上年配ですね。大阪カテドラルが竣工した1963年の3年前の1960年に逝去しています。丹下健三設計の東京カテドラルは1964年落成とのことなので、この二つのカテドラルは殆ど同時に完成していたわけです。当時もちろん私も生きていて十歳は超えていたはずですが、そんなことは全く知る由もなかった。

以前の住友銀行本店であった住友ビルもこの建築家の作品だそうですが、このビルはこれまで結構何度も見たことがあり、成程、とわかるような気がします。清潔な印象が印象があります。

この建築家を紹介した次のサイト
http://www.uma.vc/hasebe/index.html
もそのうち、落ち着いて読んでみたいと思っています。

9月13日追記: 写真一枚の追加です

(9/25 追記)
面白いのは、長谷部鋭吉が東京生まれで最終的に関西で活動したことと、丹下健三が大阪生まれで東京で活動したということ、とは言っても父親の一時的な勤務地に過ぎなかったようで、あまり意味はなさそうです。

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