2013年5月17日金曜日

新タイプの文鎮ないしペーパーウェイト ―― 工芸家の方々への提案

ガラスなどの工芸品でこういうものが欲しいのだが、というものが以前からありました。それが表記のように一種の文鎮なのですが、今回ここに、やや具体的に提案させていただこうと思います。簡単に行ってしまえば本のページ押さえということになると思います。ただ、「ページ押さえ」という用語は現在、書見台の部品として使われているようです。


普通、文鎮またはペーパーウェイトと言えば、書道で半紙を押さえるために使う細長い金属製のものか、あるいはガラスや陶器などの底が真っ平らでマッシブな置物風のデザインが思い浮かぶものと思いますが、この種の文鎮は昨今の一般人の現代生活では出番が少なくなってきているように思います。たとえば以前テレビ番組で見たのですが、ドビュッシーが日本の陶器製のカエルの置物を文鎮に愛用して楽譜を書いていたという話がなぜか記憶に残っています。このような芸術家の優雅な作業環境も昨今のOA機器で占領された作業環境ではあまり縁のないようなものになってきたようです。

一方で本、すなわち書籍やノート類はかつてと変わらず現代人の生活にも欠かせないものであり続けているように思います。そのような本を読んだり、参照したりする際、いつも困っていたことのひとつが、開いたページをそのままに保っておくことができない場合が多いということなのです。特に本を参照しながらメモをとったり、パソコンのキーボードをたたいたり、というような場合、本当に困ることが多いのです。記憶力が衰えるにつれ、これは切実な問題ともいえるように思います。

そこで、次のような、書物用の文鎮で工芸品としても魅力のあるものが欲しいなと思うようになった次第です。とくにガラスや陶磁器、特に磁器、あるいは金属など、重量のある素材が適していると思います。重さからいえば金の延べ棒などそのまま使える場合もありそうですが、お金のある人は金やプラチナを使うのも良いかもしれませんね。まあデザインにもよりけりですが、個人的にはガラスか磁器が好みです。

次にデザインコンセプトを3例、挙げてみます。

1.単一平面タイプ
簡単すぎる図ですが、下の二つのアーチ状のものが開いた本のつもりです。これは断面なので、高さは考慮していません






2.2点(あるいは2線または2面)タイプ
本の両側のページを2か所で押さえるタイプです。これが一番コンパクトで実用的なものができるように思います。







3.全面または全幅を覆うタイプ
これは必ずしも本の全体を覆う必要はないと思いますが、それでも大きなものになってしまうのが欠点でしょう。全体を覆うとすれば板ガラスのような材料を使うしかなさそうです



以上は机などの平面上で使うものですが、書見台などと組み合わせるのも一つの可能性と思います。ちなみに、書見台風のものでは筆者も具体的な考案を行い、とりあえずということで特許を出願してしまいました。とりあえず出願しておいたまでで、あまり具体的に考えているわけではありませんが、ガラスや陶磁器や金属工芸との組み合わせもありかな、などと考えることもあります。次のページで公開していますので、一応ご紹介まで。
http://www.te-kogei.com/patent/koho_shomidai.html

以上。

2013年5月15日水曜日

『寺澤彰紘 硝子展』、5月14日、銀座ギャラリー陶悦にて

いつものことながら最終日間近に訪問することになってしまい、当然、残された作品しか見られず、全貌を拝見できることが叶わない状態でこのような記事を書くの申し訳ないかもしれないですが、まあお許し願います。


以前と変わらず、基本的に実際に使える身近な作品というコンセプトで一貫しているように見受けられる作者の硝子展ですが、考えてみればこれは陶器や磁器ではきわめて正統的な行き方なんですね。

ただ、昨年に日本ガラス工芸協会のかなり大規模な展覧会を拝見した印象がまだ多少残っているのですが、やはり、ガラス工芸ではオブジェや機能性を離れた方向に流されてゆく、というか、何かそういう力、中からの力であるか、外からの力であるかなどと考え始めるとまた難しくなりますが、そういう力が働いているのは否定できないような気がします。

今回の展覧会でも目立たないところで、さりげなく新しい試みがされていることが感じられました。照明器具つきの飾り板や小さなオブジェ、文鎮などがその範疇に入るかもしれません。

という次第でガラス工芸はまだまだ流動的で、それだけに楽しみも大きいかもしれません。ただこれからの時代環境が硝子にとってどのようなものになって行くことか・・・


さて、今回は当方、ひとつ思いつきで、このような用途、あるいはジャンルのガラス工芸品が欲しい、という提案をさせていただきました。それというのは一種の文鎮ですが、開いた本を開いたままの状態で押さえることのできる文鎮です。文鎮と言ってよいのかどうかはわかりませんが。

この提案には寺澤氏にも興味を持っていただけたようです。それで当方としてはこの件で来年に期待することとなりました。

この提案については次回、別のタイトルで、少々詳しく紹介させていただこうと思っています。